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《矯正施設:屋外》
「はぁ……外なんて久しぶりだな」
高い塀に囲まれた施設の外で、三島健介は一度足を止め、それを見上げていた。
「よぉ!」
「健介~!!」
「!!」
三島がびっくりした顔で振り返ると、そこには久しぶりに見る顔ぶれがいた。
「うっわ!久しぶりだなぁ~。広瀬(ひろせ)、宇城(うじょう)!」
「ホント久しぶり」
「同じ施設内に居たのにな!」
広瀬と宇城に駆け寄ると、2人は心底嬉しそうに、白い歯を見せながら笑っていた。
三島と同じように施設を出て来たようで、荷物を持っている。
「俺が出てくるの、待ってたのか?」
「まぁな。釈放日は一緒だって、聞いていたから」
宇城一沙(うじょう かずさ)が、落ち着いたように話してくれるが、顔はずっと笑いっぱなしだ。野球部だった彼は、肌が小麦色に焼けていて、笑うと憎めない爽やかな顔をしている。
最後に会った日から、何も変わっていない事を感じ、少しホッとする。
変わったと言えば、坊主だった髪が、少し伸びているという事くらいだ。
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