時忘

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 木々の間を霧が埋める  手を伸ばすと  纏う身の輪郭が際立つ  指先の間で露が弾ける  空には月明かり  翳す掌の印象が映える  鎖された森の闇を行く  靴音は仄かに  閉ざされた深奥へ響く  意識を繋ぐ虫達の声音  傍らには刻の針  識別を拒む数多の旋律  星の瞬きは願いの外に  巡りて 煌めき 散る   月の輝きは祈りの淵で  留まり 放たれ 来る .
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