消しゴム

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僕の身体が消えてしまうのと同時に消しゴムは無くなった。 後は自分を消すだけだ。 手に持ったシャーペンを高く掲げて心臓のあたりに突き刺した。 はずだった。 シャーペンはカシャンと軽い音を立てて床に落ちた。 シャーペンを拾おうと試みるが、触れることさえ叶わない。 僕自身を消すすべを失った僕の苦悩は、もっと濃くなった。
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