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夕暮れ。 町の色が次第に闇に飲まれていく。 絵の具の色を全て混ぜたような闇に。 草木の緑も向かいの家の変わった瓦の色も全て吸い込まれるように消えてゆく。 僕も溶け込んで闇の一部となる。 残るのは一面の『闇』。 やがて夜が明け、闇は元の絵の具の色へと戻り、街へ還っていく。 僕にも色が戻ってくる。 『闇』と一体になれるその時が快感で、僕はまた夜を待つ。
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