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空が墜ちてくる。 有りがちな、詩的なメタファーでもなく、本当に墜ちてきている。 普通の人間であれば、世界の終わりがきたと騒ぐのだろうか。 恐怖におののき叫ぶのだろうか。 僕は一種の安心感を覚える。 本来いるべき場所へと帰れる安心感、とでも言おうか。 地面に仰向けになって空を迎える。 今、地面と空が一つになる…。 窓から差し込む朝日で目が覚める。 また同じ夢を見た。これで何度目だろうか。 僕はまだ神に赦されていないようだ。 背中に生えた黒い翼を恨めしげに眺めながら、今日も空を見上げる。
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