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空座町―――
月だけが輝く闇の中、一羽の黒アゲハが飛んでいた。
「……この辺りだな」
闇に溶けてしまいそうな黒衣を身にまとった少女が電信柱の上に立ち、町を見下ろしていた
「……成程。強い魄動を感じる」
少女は呟き、電柱を蹴る
そして音もなく闇に消えていった
その姿を見ていたものが居るとは知らずに……
同時刻―――
「……死神が来たな」
「本当だ…アイツにも教えてやらねぇとな」
少女がいるところから少し離れたマンションの上に二つの影があった
その二人は少女の黒衣とは対照的に白いマントを纏っていた
「……やっと本格的に動き出せるな」
「ほんとだぜ。これからもっと楽しくなるな」
少女がいなくなると、二人は怪しく笑っていた
その声は不気味なほどよく響き、彼らの姿は暗闇へと消えていった
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