VERSION 1 良一

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親方は、謝った僕に「お前、鈴木をぶん殴って、こんな会社二度と来るかよって、仕事を投げ出してバックレたんだろ? 今更、何だよ」と言われた。 もっともなお言葉だが、僕にはそんな事をした覚えがないのだ、何と言っていいのか判らなかったので 「すいませんでした」ともう一度謝った。 すると、親方はニヤリと笑って、意外な言葉を口にした、「鈴木に手を出した件は、オメーが悪いが実は他の社員や現場にいた人間から、オメーに対しての同情が多くてな、少し処分は考えようかと思っていた所だ、鈴木にも少し頭を冷やさせる、しばらく、休んで頭を冷やしな」 僕はもう一度、親方に頭を下げたまさしもその言葉に驚いて 「鈴木の野郎、ざまあみろ! りょう、よかったじゃん」と声をかけてきた、まさしは気楽だが僕には、一抹の不安が残った。 訳もわからない内に、とりあえず仕事はしばらく休みになったのだが事務所を出る時、親方が「保護司の青木さんには、俺が連絡しておくから後で必ず顔を出せよ」と言ってきた。 僕はある問題で保護観察処分を受けているのだ。
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