VERSION 1 良一

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問題と言うのは、三年前の中学三年の夏休みに、僕は眠っている義理の父親をコンクリートブロックで殴りつけて重傷を負わせてしまったのだ。   ◇ 僕は本当の父には会った事がない父は僕が生まれる前にどこかに姿をくらませてしまっていたのだ、兄弟は二つ年上の兄がいたらしいが、四歳のときに病気で他界していて、僕には兄の記憶はない、兄について母はあまり話をしたがらないので、僕も兄の話はしないようにしている。 僕が重傷を負わせた、義理の父は元プロレスラーで、僕が二歳の時兄が亡くなった頃から、母と同棲を始めたらしいが、酒飲みで、ろくに仕事もしない男だった、僕は子供の頃から、そいつに遊んでもらった事も、可愛がられた事もなかった。 母は美しく、お嬢様育ちで僕を溺愛していたが無能な人だった、いつも父の言いなりで、母と僕は、父からの暴言や暴力を毎日、恐れて暮らしていた。 僕は小学四年生になると家計を助けるために、新聞配達を始めた、小学生の頃から僕は、ガリガリに痩せていて、栄養失調で体力もなく、勉強もできなかった、服もほとんど買って貰えなかったので、不潔で友達もできなかった、それでも、小学校に通っていた理由は家にいたくないことと、給食を食べるためだけだった。 僕は義理の父から虐待を受けていたのだ。
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