VERSION 1 良一

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中学生になった僕は、相変わらず友達もできず勉強もできなかった 僕が住んでいる街は東京都下だったが、繁華街は栄えていて、駅周辺は飲酒店やオフィスビルが立ち並び、僕が通っていた学校はその谷間に異空間の如く存在していた 僕は落ちこぼれだったが、不良グループなどには入る元気もなく、午前中は教室の隅で一人机に俯せていて、昼に給食を食べたらそっと学校を抜け出してある場所に向かった。 それは学校と同じくビルの谷間にある、便所だけが立派な小さな公園で、植え込みの陰に浮浪者の荷物かゴミかわからない紙袋が大量に放置されていて、とても小さな子供が遊ぶような場所ではなかったが、その分、静かな空間だった 公園のベンチで昼寝をしているとたまに、チュウ子と名乗る40過ぎのオカマがやってきて、やたらに馴れ馴れしく僕に話し掛けてきて、こずかいをくれたり、ジュースを奢ってくれたりした事があったのだが… それが、発端になって、僕の「義理の父 殴打事件」は起こったのだ。
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