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当時の僕が考えていた事は、「早く自分で、働いてお金を稼ぎたい一人で自由に暮らしたい」という事だった。
僕は毎日、夜遅くまで街をブラブラしてから、家に帰っていた、父や母の顔を見たくなかったからだ
三人で暮らす、おんぼろアパートには、寝に帰るだけだったが、近頃、僕は父にはあまり干渉されなくなって、ホッとしていた、その分、父は母にはよけいに、辛く当っていた気がする。
僕は反抗というものを知らなかった、ただ、耐える事だけしか知らなかった。
親戚もおらず誰も助けてくれなかったし、未成年で生活力がないのだから どんなに酷い親にでも頼るしかなかったのだ。
そんな、ある日、アパートに帰るといつものように、酒を飲んで真っ赤な顔をした父に呼び止められた。
当時の父は、建築現場で土木作業員の仕事をしていた、元プロレスラーだけあって、現場での力仕事は頼りにされていたようだが、酒を飲んではケンカをしたり、仕事を何日もサボったりして問題ばかり起こしていた。
父はちょうど「サボり期」(父は競馬や麻雀などで勝って金が入ると、途端に朝から酒を飲み、仕事をサボりだすのだ)に入っていてここ二、三日、酒の量が増えていたので、嫌な予感がした。
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