VERSION 1 良一

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しかし、父が僕の学生ズボンのポケットに手を突っこむと 五千円札が一枚出て来た、こんなお金は知らない! 父は何だこの金は、といった顔をして、五千円を自分のポケットに押し込むと、「バイト代は取りあげる」と言って、僕を突きとばすと、「これからは 俺に内緒で バイトをするんじゃねぇぞ」と捨て台詞を残して、父はアパートから出て行った。 僕に言い掛かりをつけて、金を巻き上げて、また雀荘に行ったのだろう、しかし、僕でさえ知らなかったポケットの五千円を何故、父は知っていたのだろうか?  今日は確かに、あのオカマのチュウ子と公園で会ったが、その後の記憶がとぎれとぎれに、曖昧になっていた。
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