VERSION 1 良一

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「君は誰って鉄雄、あんた頭、大丈夫? 昨日の夜、自分で6時に起こしてくれって、あたしに頼んだんじゃないの」 「僕は、こんな朝早くに大音量でギターを弾くような近所迷惑なことを頼むわけないし、第一に僕は鉄雄なんて名前じゃない!」 「はぁ?鉄雄、何んなのそれギャグ?」 女は、一瞬キョトンとした顔をしたが、急にゲラゲラと笑い出した。 この女、頭おかしいのか?どこから 部屋に入って来たのだろう? 訳がわからず、二人とも黙り込んで険悪な空気が流れた、その時、目覚まし時計の6時のアラームが鳴って出勤の時間が迫っていることを知らせてくれた。 僕は慌てて、出勤の準備を整えて嫌がる女と一緒にアパートの部屋から出た「この部屋は君のいう鉄雄さんの部屋じゃないよ」と玄関扉の[久藤良一]と書かれたネームプレートを女に見せてから僕は部屋に鍵をかけた。
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