VERSION 1 良一

7/25
1011人が本棚に入れています
本棚に追加
/135ページ
僕は会社に急いだ、親方の顔を思い浮かべると恐ろしくなってきたが、殴られるのを覚悟して事務所の扉を開けたのだった。 事務所には中学校の同級生で同僚のまさしが一番乗りしていて、長椅子に座ってカップラーメンを啜っていたが、僕の顔を見ると割り箸をポロリと落として驚いた顔をした。 やっぱり僕は、三日間寝過ごして無断欠勤してしまったのだろうか? 他の社員はまだ、誰も出勤していなかったので、何となくホッとしたが、みんなになんと言い訳したらいいのだろう? とりあえず、一番仲のいい、まさしに最初に会えたのは運が良かった。 「まさし… おはよ僕、もしかしてなんかやっちゃった?」 「りょう、おまえ、やっちゃったって、昨日、鈴木をぶっとばして、こんな会社二度と来るかよって、たんか切って仕事をバックレて帰っちまったじゃねえかよ!」 「えっ、僕昨日、仕事に来たの?それで、鈴木さんを殴った? 殴られたんじゃなくて?」
/135ページ

最初のコメントを投稿しよう!