VERSION 1 良一

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鈴木というのは、僕や、まさしの五つ年上の職場の先輩で、仕事中に隠れてサボってばかりいるくせに、年下の僕やまさしをいじめたり、こき使う最悪なヤツなのだ。 血の気の多い、まさしは「あの野郎、その内ぶっとばす」と、言っていたが、ひ弱で意気地無しの僕が、鈴木をぶっとばしたなんてありえないし覚えがない。 まさしや、朝の女の言う事が嘘でなければ、僕は知らない内に仕事に行って、先輩をぶっとばしたり知らない女に朝、起こしてくれと頼んだりしているのだ… 僕はもしかしてボケ始めているのだろうか? 「まさし、実は僕、この三日間の記憶がないんだ! 鈴木さんを殴った覚えもないし、新しく始まった現場も行った覚えがない」 「えっ! マジ? りょうは毎日、現場に来てたぞ、まぁ、ここ二、三日はなんか様子がおかしかったけどな、人が変わったみたいに性格が荒くなったっていうか凶暴だったよ、あの鈴木に食ってかかってたからな」
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