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「僕、クビかなぁ」
「どうだろうな? 鈴木は憎たらしいが、りょうはヤツに手を出しちまったからなぁ」
「まさしだっていつかぶっとばすって言ってたじゃん! 僕、帰ろうかなぁ」
僕は覚えがないとは言え、こんな暴力事件を起こしてしまったら、傷害罪で捕まってしまうかも知れないのだ!
本音は「帰ろうかな?」ではなく「逃げようかな?」だった。
その時、事務所のドアが開いて親方が図面を抱えて出勤してきた、各現場の進行状況を確認したり作業内容や人員の手配などの打ち合わせを行う為に毎朝、顔を出すのだが、親方は僕の顔を見て「ほお」と飽きれたような顔をした。
親方は身長190センチはある巨漢のコワモテ顔で、見た目は完璧にヤクザだが、中卒で水道工事の穴掘りから、たたきあげられた苦労人である
僕は親方に殴られるのではないだろうか?と、びびって、とりあえず、鈴木さんを殴った覚えはないが「すいません」と謝った。
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