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二人は、自転車に乗ったまま黙りこんでいた。
「あのさ、亜美って彼氏とかいるの?」
しばらく返事は返ってこなかった。
「別れたんだ。」
「そ、そうなんだ。」
亜美は暗い感じで理由を昌俊に言った。
「遠距離恋愛してたの。彼はすごく優しいくてあたしを大切してくれた。あたし自身、彼が好きだった。でもあたしの気持ちは変わっていたの。もう彼を好きにはなれなかった。」
昌俊の自転車のスピードは亜美が話すたびに遅くなる。亜美の話だけが昌俊の中で聞こえる。
「あたし、初めて心から好きと言える人に出会ったの。その人は部活熱心で、自分ことは一人で解決しようとして、友達や他の人に迷惑をかけれない。そして何よりも約束を破るのがきらい。ちょっと慌てる所もあるけどとても優しい。」
彼女の声は俺に伝わった。
「昌俊。あなただよ。」
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