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青空から雲がでてきて、空も泣いていた。まるで彼と同じように。
「雨ふってるね。」
彼女が隣を見ると彼の姿がなかった。
「昌俊?」
彼女が捜していると、隣で傘が開く音がした。
「帰ろうか。」
昌俊の傘の中に亜美が入り、帰り道をたどり始めた。
歩いていると、亜美は昌俊の手を握った。昌俊は相変わらず驚く。
「えっ!」
「こっちの方が恋人っぽいでしょ。」
「う、うん。」
「緊張してるの?」
「そんなことないから!」
昌俊は女の子に手を握られるのは初めてのことだったので手に汗がでないようにしていた。
「昌俊は素直じゃないけど素直なんだよね!」
「なんでそんなこと思うの?」
「教えない!」
本当は手に汗がかいたけどあえて言わなかった。亜美は彼のその正直なところが好きだった。
「あのさ、行きたいところあるんだけどいい?」
昌俊の質問に喜んで彼女は答えた。
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