34人が本棚に入れています
本棚に追加
｢あのさ、昌俊。｣
彼女は俺に問いかけてから、鞄の中をいじり始めた。
｢これ、やろうよ！｣
中に入っていた物は花火だった。俺は喜んで返事を返した。
花火は線香花火だった。二人は火を付けて、ゆっくりとパチパチはしぐ。
｢なんか、癒やされるよね。｣
彼女は花火を見ながら答える。
｢本当だよね。小さい花火だけど、俺は、この花火が一番好きだな。｣
俺は、癒やされると言ったが本当は今、近くにいる彼女が一番癒やされる。
｢昌俊はこの線香花火が落ちるまでに何を願う？｣
｢秘密！｣
｢じゃあ、あたしも秘密かな！｣
二人は、お互い笑顔を見せながら、また線香花火を眺めた。
線香花火の火が落ちる直前、彼女が昌俊の方を見ると、彼は、生まれて初めてのキスを彼女にした。
｢これが俺のお願い。｣
今は、夏なのに、彼女の表情は、すごく明るく、暖かい感じだった。
最初のコメントを投稿しよう！