2 映る影

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このマンションでの生活も慣れてきた。 7階からの景色も本当に気持ちがいい。 今まではアパートの2階だったから、最初は高さにちょっとびくついたけど、とにかく日当たりも風通しもいい。 ふと、前の持ち主がなんでこんないい物件を手放したのかなと不思議に思った。 転勤とかどうしても手放さないといけない理由があったんだろうな。 それとも中々の物件だから、ローンが返せなくなったとか… それにしても安かったよね。 何か特別な理由でもあったのかな… 春の風に吹かれて、真佐子の思考はあちこちと飛んでいた。 よく事件があったとか、幽霊がでるとか、そうすると安くなるって言うよね。 変なところで思考が止まった。 「やぁだ、何考えてるんだろ! 幸せ過ぎて怖いってヤツ?」 「何、独り言言ってるの?」 気がついたら息子の晃一がリビングに入って来ていた。 「幸せ過ぎて怖いだって!あははっ。」 笑われた。 ちょっと恥ずかしくなったが、真佐子は晃一に言った。 「晃ちゃんもこのマンションに来てよかったでしょう?自分の部屋も出来たし。」 「うん、そうだね。 でもこの部屋何かいるよね?」
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