一章 間幕

2/3
前へ
/6ページ
次へ
カラン うちのドアベルの軽い音がする 久しぶりのお客さんだ はやる気持ちを押さえつつ上着をぴっと直します 鏡で確認 異常なし! 「いらっしゃいませ。ようこそ時屋へ」 いつもの決まり文句 今回は上手く言えました 「時屋?」 「はい!的屋でも問屋でもない時屋ですよ どうやらあなたには、時を越えた悩みがあるようですね。よければお話を聞かせていただけませんか?もしかしたらお力になれるかもしれませんよ。」 少し戸惑っている様子を見せているお客さん 口を開くかな? 「……じゃあ、3年前に戻れる道具はありますか?」 「はい!ありますよ!少々お待ちください。」 確かこの戸棚に閉まってあったような… あれどこにやったっけな あ、あった。うわー埃凄い。上手く動くといいな。 「お待たせいたしました。これは『引力の砂時計』と『刻鐘』という道具です。」 お客さん、凄く心配そうな顔をしてます。 気にせず説明を続けます。 「使い方は簡単です。まず行きたい時間を強く念じ、『刻鐘』を一回振ります。そのあとに『引力の砂時計』をひっくり返してください。砂時計が時間点に繋ぎ止めてくれます。」 お客さん。胡散臭そうな顔してる。ワロス 「ただ使用にあたり注意事項があります。 1、絶対に砂時計の砂が落ちきっても再度ひっくり返さないでください。絶対にですよ。 2、『引力の砂時計』の効力があるのは約72時間です。 そして最後に 『刻鐘』を一度使うと二度と出発点の時間には戻れません。 それくらいですね。」
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加