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(な、何を言ってッ!!)
分からない。
理解できない。
そうやって彼女の言葉を、心が拒絶しようとする。
理解してはならないと。
──押し止めていた感情が、溢れてしまうから。
受け入れてはならないと。
──ひびだらけの心が、粉々に砕けてしまうから。
けれど、彼女の言葉はそんな防衛本能をも突き抜けて、僕の心へと侵入てくる。
(止めろ……)
生まれて初めてというくらいに激しく揺さぶられる心。
(止めてくれっ)
激しく波打つ感情の波に、必死に塞き止めていた壁はもう瓦解寸前だった。
そんな時だった。
視界の全てを、〝燃え盛る紅蓮の業火〟に支配されたのは。
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