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「なっ……!?」
唐突に燃え上がった炎は、瞬く間に僕とアナの周りを囲うように包む。
「いっ、一体何──ッ!?」
言いかけ、止める。
否、止めざるを得なかった。
何故なら、
「ハッ、ハッ、ハッ……」
何かに怯え、肩をがくがくと震わせて目を見開くアナスタシアの姿が見えたからだ。
「……アナ? ど、どうしたの?」
声をかけるも、反応はない。
どうしたんだ?、と急変した彼女の様子に眉を潜めながら、怯える彼女の視線の先を辿ってみる。
だが、そこには炎が立ち上っているだけで、特別何かあるわけではなかった。
(一体何がどうなって……)
そんな当然の疑問を胸の内で抱いていると、次なる変化は起きた。
「……ッ!? 危ないっ!!」
「え……」
咄嗟にアナを抱き抱え、横へ思い切り飛び退く。
それから一瞬遅れて、先程まで立っていた場所に〝炎の塊〟が墜落した。
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