PHASE.1

13/15
前へ
/15ページ
次へ
「ぐっ!!」 着弾と同時に起きた衝撃によって、彼女を抱えたまま勢いよく地面を転がる。 「……ケガはない?」 「…………」(こくん) 「……そっか。なら良かった」 まだ怯えながらも小さく頷くアナに、ほっと息を吐く。 「──へぇ、アレを躱わせるとはなァ」 「ッ!?」 突然聞こえた男の声に、反射的に顔を向ける。 見えたのは、炎の壁に映る黒い影。 「このオレ様の炎を躱わすたァ、流石S級ランクの能力者だけはあるじゃねぇか」 クックックッ、と耳障りな笑い声を響かせながら、近付いてくる影。 「…………」 その影を睨みつつ、未だ怯えるアナを後ろへと下がらせる。 「だが、次は外さねェぞ?」 「「ッ!!」」 立ち上る炎を裂くようにして姿を見せたのは、全身を黒の軍服に包んだ筋肉質の大男。 肌は黒く、体の所々に金色のピアスを付けている。 何より目を引くのは、腰に携えた2振りの大型ナイフ。 いや、ナイフというより刀身の短い剣と言った方がしっくりくる。 そしてその左胸で光る、凧型のエンブレム。 中央に地球と赤十字を模したそれは正しく、〝世界統合政府〟の正統な証だった。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加