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「ぐっ!!」
着弾と同時に起きた衝撃によって、彼女を抱えたまま勢いよく地面を転がる。
「……ケガはない?」
「…………」(こくん)
「……そっか。なら良かった」
まだ怯えながらも小さく頷くアナに、ほっと息を吐く。
「──へぇ、アレを躱わせるとはなァ」
「ッ!?」
突然聞こえた男の声に、反射的に顔を向ける。
見えたのは、炎の壁に映る黒い影。
「このオレ様の炎を躱わすたァ、流石S級ランクの能力者だけはあるじゃねぇか」
クックックッ、と耳障りな笑い声を響かせながら、近付いてくる影。
「…………」
その影を睨みつつ、未だ怯えるアナを後ろへと下がらせる。
「だが、次は外さねェぞ?」
「「ッ!!」」
立ち上る炎を裂くようにして姿を見せたのは、全身を黒の軍服に包んだ筋肉質の大男。
肌は黒く、体の所々に金色のピアスを付けている。
何より目を引くのは、腰に携えた2振りの大型ナイフ。
いや、ナイフというより刀身の短い剣と言った方がしっくりくる。
そしてその左胸で光る、凧型のエンブレム。
中央に地球と赤十字を模したそれは正しく、〝世界統合政府〟の正統な証だった。
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