PHASE.1

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そんな、ただ言われるままに動いて、自己表示を全くしない僕のことを、同級生やクラスメイトは口を揃えて〝人形〟って呼ぶ。 ……実際、その通りだなって自分でも思う。 だって、本当にその通りなんだから。 ただ命じられるがままに動く人形。 ───こんなこと口にしたら、また愛梨に怒られちゃうな。 クス、と漏れるような小さい笑い声が零れる。 不意に、僕は空を見上げた。 目に映るのは、何処までも何処までも広がる、青く透き通った空。 (いつ見ても、この空だけは変わんないな……) 脳裏を過るのは、楽しかった過去の思い出。 もう2度と取り戻すことのできない、幸せだった頃の日常。 (…………) どんなに辛くても、悲しくても、苦しくても、あの日枯らしてしまった涙が流れることはなかった。 きっと、〝あの日〟から……全てを失ったあの日から、僕の時間は停まったままなのだろう。
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