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「僕に、くれるの……?」
差し出されたプリメラの花を手に取りながら僕はそう声をかけると、彼女は無言で小さく頷いた。
「あ、ありがとう……」
おずおずと花を受け取ると、彼女に向けてそうお礼を言う。
するとその言葉に満足したのか、彼女の表情が微かに綻んだ。
(ッ!!)
その微笑みを見た瞬間、僕の心臓が今までにないくらい一際激しく高鳴り出す。
これまで何にも興味が沸かなかったのが嘘のように、僕は微笑む彼女の姿に瞬く間に惹かれていった。
「……アナスタシア」
「え……?」
そんな中、突然何かを呟く少女。
それまで彼女に魅入っていた僕は、思わず声を漏らすっハッと我に返る。
けれど咄嗟に意識を戻したせいか、彼女が何と言ったのか分からなかった。
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