PHASE.1

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──結局、僕はただ逃げていただけだったんだな……。 恐怖から逃げ、人を避け、〝人形〟という殻に閉じ籠もった己が自身。 そんな最低な自分に対し、僕はただ頭を垂らし自嘲を浮かべることしかできなかった。 「……ゆーと?」 「え?……ってうわぁッ!?」 不意に名を呼ばれ、声のした方へ顔を向けると、すぐ目の前にアナスタシアの顔が。 「どっ、どっ、どうしたの!?」 眼前に迫ったアナスタシアの顔に驚いて、反射的に後ろへ飛び退く。 そんな僕を不思議そうに眺めながら、アナスタシアはゆっくりと口を開いた。 「何だかゆーと、哀しそうだったから……」 「……ッ!!」 淡々と語る彼女に、思わず息が詰まる。 「あ、え……」 頭の中が真っ白になり、何の言葉も浮かばない。 だって、今まで生きてきた10年の間、人形という殻で僕は自分の気持ちをずっと隠してきたんだ。 愛梨や和也にだって、本当の気持ちは見せなかった。 なのに、目の前にいる彼女は……。 (ど、どうして……!?) 激しい動揺が僕の心を掻き乱す。
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