the great Tower of Babel,

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否。全裸ではない。ちゃんとマナーとして、首に汗拭きタオルをかけていた。 それにリュック式のパラシュートも背負っていた。 が、スタッ、なんて効果音がピッタリなくらいに美しく着地すると同時、その両方を捨て去る。 少女は──上を向いたまま固まっていた。 その他大勢は──やっぱり固まっていた。 あまりの驚きに、信号が赤に変わっても、動かなかった。 ちなみに車の運転手も──同文。 そんな、誰もが呆気にとられた状況で、誰よりも早く声を出したのは、 「へ、へへ、へへへへ──」 少女だった。 「へんたあぁあいっ!!」 男の登場によって精神集中を乱され、ぶぇるぶぇっとレインはまにゅふぁくちゃあラインへと変化。 血の雨を降らすはずだった魔法は、少女とそれに一番近い他者を除く人間全ての動作を禁止する魔法となって炸裂する。 眩い紫色の閃光が、一瞬世界を包み込み。 「これは……?」 舞台は田村麿彦五月雨 我田引水と、クラリルレリウスタード ロリポップだけの独壇場へと様変わりした。 スクランブル交差点はこの瞬間、完全にその名を冠するに値せず、田舎の横断歩道以下の存在になったのだ。
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