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「誰が変態だ」
「いやあっ!! 口を開く前にその物騒なもんをしまうのだ!」
顔を真っ赤に染め、魔力を帯びていない両の手でそれを覆い隠す少女。
「物騒なもの? はて?」
「そのグロテスクな建造物のことなのだ!」
「なにを言う。これはいつか天へと届き、神にあの日の行いを詫びるためにある、第二のバベルタワーだ。断じて不浄のものではない!」
太陽は、神々しいまでにバベルの塔を照らし、隠す。
「なにがバベルタワーだ!」
「だからナニがバベルタワーだ」
田村麿彦五月雨は不適に笑い、けれども威風堂々と立ち、回想を始めた。
「僕は今日この瞬間、ここに集う多くの人間達に話を聞いてもらうため、シコシコと前もって準備を重ねてきた。それはもうシコシコシコシコ、血の滲むような日々だった」
彼の目で光る涙は、その壮絶さを物語る。
彼女の目で光る涙は、その軽蔑度を物語る。
「そして、長々と説教を垂れても効果は薄いとの結論に至った」
田村麿彦五月雨が華麗なステップで半回転すると、その艶かしいほどに鍛え上げられた肉体美が明らかになる。
クラリルレリウスタード ロリポップは咄嗟に顔を伏せた。その反応こそが、今まで隠せと言いながら、その実芸術的な体つきに魅せられていたなによりの証拠である。
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