序章

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「もう、うるさいなぁ。ちぃちゃんはもう、16歳でしょ?自分で何とかしなさいよぉ」 「いやいやいや、ね!?あんた俺の母親だろ!?何投げだしてんだよ!!」 ここまでくると、他人レベルだな。 「もう、仕方ないなぁ。じゃ、ここにでも行きなさい。何とかしてくれると思うから」 そう言って渡したのは、雑に折り畳まれた紙切れだった。 それを受け取ると、ろくでもない母親は「それじゃ☆」っと言って出て行ってしまった。 マジで息子置いて行きやがった。 俺は受け取った紙切れを広げた。 そこに書かれていたのは、知らない住所だった。 ここに行ったら、ほんとにどうにかしてくれるんかな? ま、とりあえず行ってみるか。 俺は自分の私物を旅行バッグに詰め込み、家を出た。 ここ、かな・・・? 辿り着いたのは、ピンク色の看板が付いた可愛らしい喫茶店のようだった。 あのババァ曰く、妹が経営している店らしい。 つまり、叔母の店だ。 さっき電話したとき、そう言ってた。 つか、携帯も使えなくなるとかどういう事だよ。 さっきの電話が、携帯の最期だった。 あのババァの妹さんかぁ。 ろくでもなさそう。 でも、住む所がないよりはマシだ。 俺は店のドアノブに手をかけた。 まさかこの店の扉が、俺の人生更に狂わせる道への扉だなんて、その時の俺は知らなかった。
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