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「此処は本当に日本なのか…?」
終わりの見えない道をひたすら歩きながら、俺、水無月 蓮(ミナヅキ レン)は呟いた。
ほんと、日本にこんなに広い土地があったんだってくらい。
しかしそんな問いに誰が答えてくれる訳でもなく。
辺りは静寂に包まれ、チュンチュンと雀の鳴き声が響くばかりである。
横を見れば先の尖った鉄格子でできている洋風な造りの高い壁。反対側には深い深い樹海。その風景が余計に蓮を虚しくさせた。
何でタクシーの運転手はちゃんと門の前で降ろしてくれなかったんだ?
運転手に怒りを覚える。
…まあ今更言っても仕方がないがな。
はぁ…と溜め息をつき、またひたすら歩いていくのだった。
─────────────
「…やっと着いた。」
先程の道を歩き続け、漸くたどり着いた門には堂々と”緋影学園“と書かれている。
そう。俺は今日からこの緋影学園に転入してきたのだ。
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