「こんにちは、稔麿さん」

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  「……え?」 長い沈黙の後、稔麿が言ったのはそれだけ。 (あ、振られたな、これは……) 稔麿がこれでもかと言うほどに目を見開いているのを目の当たりにして茜はそう察した。 もとより稔麿とは月とスッポン並みに釣り合いが取れていないことは茜自身が一番理解している。 手当てを再開したものの稔麿の顔を見ることができない。 「大志さんと別れたばっかりだと言うのに図々しい女と思うでしょうね」 「…………」 「あ、えと、この事は忘れてください。私が言いたかっただけなんでッ──!?」 「…………」 不意に手を引かれたかと思うと気付けば茜は稔麿の胸の中にすっぽりと収まっていた。 稔麿の温もりは何とも心地良いのだが無言であることが茜の不安を煽る。 「稔麿さん?」 「一度しか言わない」 稔麿は茜を解放すると彼女の視線を捕らえ、そして良く通る声で告ぐ──。 「君が、好きだ」  
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