何も知らない、少女

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時刻は朝の7時。 ドタドタと階段を駆け上がる音と、設定してある目覚まし時計の音が鳴るのはほぼ同時だった。 ベッドからもそりと腕だけを出し、目覚まし時計を探す。 カチリ ボタンを押してけたたましい音を止める。 ガチャリ 「朝!朝よ!起きなさい!引きこもり(仮)でも時間は守りなさい!」 「んー……ん、」 ベッドの中でしばらくもぞもぞと動き、ようやく体を起こす。 「亜沙子さん、朝です。起きて、」 「分かってるって!起きたじゃない!」 「知ってる。わざと!」 にんまりと笑う目の前の女は母である。 「はぁ、母さん仕事は?」 「昨日ちゃんと締切守って出しましたー。」 「その言い方ムカつく。」 「あさちゃんは今日も学校行かないの?」 「行かないよ。明日も、明後日も。」 はぁと母はため息を付くと、部屋を出て行った。
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