第二章

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「オイオイ戦兎、よくそんなんで焔達を助けようとか考えてたな……」  紅い瞳を半眼に言う剣に、俺は「いやぁ」と返す。 「あの時はもう無我夢中で……」 「國ちゃんはあの時、おら達の事ば助けようって思ってたんだべか?」 「まぁな……でも俺、途中で焔達の事を見て見ぬフリして逃げようとしちまった……」 「ん……まぁ、おら的にはそこで助けてくれたらもっと好きになってたけど、丸腰だったんなら仕方ないべな……」 「ワリィな焔……助けられなくて……」 「ううん、それくらいの事でおらは國ちゃんの事ば嫌いになんてならないから平気だべよ」 「そうか、ならよかった」 「うん、おらは國ちゃん一筋だべよ!」 「焔……」  絆創膏だらけの指でギュッと手を握ってくれる焔の晴れやかな笑顔に、俺の心はキュッと締め付けられるような感覚に陥る。 あぁ、異性に想われるのって悪くないな……。 「……ヘイヘイ、別にイチャつくのはいっこうに構わねーが、せめて人がいない所でやってくれねーか? 見ててスッゲー腹立つ」 「はい、スイマセン……」  剣の鋭い眼光に圧倒され、俺は渋々、焔に手を離してもらうように促す。うぅ、焔の寂しそうな目が心にクる……。 「で、戦兎はもう買う武器は決まってんのか?」 「いや、まだ決まってねぇから今の内に選んで買っておこうかなと思ってさ」 「そうか、んなら今の内に買っておけ。そろそろ強い奴はアサルトライフルやらサブマシンガンに持ち替えてるはずだ。アタシらも装備を整えないとマズい」 「りょーかい。んじゃあ、さっそく――」  と、俺は自分のPDAが入っている尻のポケットに手を突っ込んで取り出すが―― 「……おい、マジかよ……」 「ん? どうした?」 「PDAの画面が割れちまってやがる……」
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