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周りも普通な人間が多くて、自分もちょっと女遊びが多いという事以外は普通。それが宗也だ。
こいつのすぐ側にある異常。それはこの先も俺という存在だけだと思っていたんだけどな。
まさか高校に入って出来た友達の親友がレズだなんて。俺だってそんな事想像出来なかった。
「まぁ、レズだとかよく分からない事はこの際おいといて。神谷さん可愛いよな」
「お前、まさか次はあの女に手出すつもりか?」
嫌われているだろう事に気付いているのかいないのか。笑いながら頷く宗也に思いっきりため息をつく。
目の前で男が嫌いだと告げていた神谷を狙おうなんて、普通の人間なら考えないと思うんだけどな。
こいつも馬鹿だ。気に入った女に手を出しては本気になられ、それが嫌でこっぴどくフるという事を繰り返してもまだ飽きない。
いい加減本気で誰かを好きになればいいと思う。愛情に飢えた小さな子供の様なこいつを、大人にしてくれる女を。
「里玖?」
「何でもねえ。今日もウチ来るか?」
「世話になりっぱなしだからな。今日はいいわ」
「阿保か。一人だとお前絶対に飯食わねぇだろ。来い」
半ば強引に誘うと困った様な、それでいてどこか嬉しそうな表情をして着いてくる。
一人で生活するなんて許すはずないだろ。この俺が、唯一の理解者を手放すと思ったら大間違いだ。
そういうところをこいつは分かっていない。大親友だと言う言葉に込められた意味も理解してないだろうな。
こいつが俺から離れて行ったらもうお終いになる。宗也がいるから俺がこうやって、したくもない女装をしていられる。
理解者なんて一人でいい。俺の苦しみも悲しみも、他の人間には理解出来ないのだから。
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