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朝、目を覚ましてから最初にする事。それはこれから来るであろう馬鹿を出迎える事だったりする。
私は朝があまり強くない。それでもこうやって早起きをするのは、そうしないと悲惨な事になるからだ。
ボサボサになった髪の毛もそのまま放置。遠くから聞こえる足音を聞きながら思いっきり顔を顰める。
「おはよう、朝だぜ姉ちゃん!」
「分かってるわよ。てか、ノックくらいしてよ早月(さつき)」
目の前で嬉しそうに笑っているのは弟の早月。今年で中学二年生の、何故か私の事が大好きなシスコン。
見た目はいいはずなのに、姉以外の女には恐ろしく冷たい。だからいつまで経っても彼女が出来ないのよ。
「何でもう起きてんだよ、寝顔撮ろうと思ったのに!」
本気で悔しそうだ。我が弟ながら、そこまで行くと気持ち悪くなって来る事に気付いて欲しい。
何でこう、自分の周りには変な人間しかいないのか。私は普通だから、きっとこれは有希のせいに違いない。
「馬鹿な事言ってないで、さっさと下に行きなさい。有希は?」
「あんな奴の事なんか気にしないでいいんだよ。まだ来てない」
「そう、ありがとう」
頬を膨らましたまま去っていく。シスコンで時々ウザいけど、素直でいい子なのはよく分かっている。
そのいい部分を他の人にも見せたらいいのに。何であんな子に育ってしまったんだろう。甘やかしすぎたのか。
もう少し厳しくしてみよう。でも泣かれるのだけは避けたいから、どうしたらいいのか考えつかない。
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