01

2/17
前へ
/28ページ
次へ
朝、目を覚ましてから最初にする事。それはこれから来るであろう馬鹿を出迎える事だったりする。 私は朝があまり強くない。それでもこうやって早起きをするのは、そうしないと悲惨な事になるからだ。 ボサボサになった髪の毛もそのまま放置。遠くから聞こえる足音を聞きながら思いっきり顔を顰める。 「おはよう、朝だぜ姉ちゃん!」 「分かってるわよ。てか、ノックくらいしてよ早月(さつき)」 目の前で嬉しそうに笑っているのは弟の早月。今年で中学二年生の、何故か私の事が大好きなシスコン。 見た目はいいはずなのに、姉以外の女には恐ろしく冷たい。だからいつまで経っても彼女が出来ないのよ。 「何でもう起きてんだよ、寝顔撮ろうと思ったのに!」 本気で悔しそうだ。我が弟ながら、そこまで行くと気持ち悪くなって来る事に気付いて欲しい。 何でこう、自分の周りには変な人間しかいないのか。私は普通だから、きっとこれは有希のせいに違いない。 「馬鹿な事言ってないで、さっさと下に行きなさい。有希は?」 「あんな奴の事なんか気にしないでいいんだよ。まだ来てない」 「そう、ありがとう」 頬を膨らましたまま去っていく。シスコンで時々ウザいけど、素直でいい子なのはよく分かっている。 そのいい部分を他の人にも見せたらいいのに。何であんな子に育ってしまったんだろう。甘やかしすぎたのか。 もう少し厳しくしてみよう。でも泣かれるのだけは避けたいから、どうしたらいいのか考えつかない。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加