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首を傾げたまま私たちを見ているそのイケメン君。さっきからずっと無視しているからこれ以上は可哀想だ。 それに彼は里玖の幼馴染み兼大親友。ここで仲が悪くなったらこれから先が面倒な事になる。 「私、加賀屋 紀月です。こっちは友達の……」 「もう、友達じゃなくて大親友だっていつも言ってるでしょ!どうも、神谷(みたに) 有希です」 「俺は山根 宗也(やまね そうや)。よろしく」 爽やかな笑顔で差し出されたその手と握手しようとしたのだが。有希と、何故か里玖によって阻まれた。 困った様に笑う山根君。その目の前にいる里玖は頬を膨らまして彼を睨んでいる。 そして有希の方はと言うと。何か企んでいる様な、それでいて酷く不愉快だと言いたそうな顔をしている。 「私、男の子って嫌いなのよ。だからあまり紀月に近寄らないでちょうだい。よろしくするなら、私は里玖ちゃんの方がいいわ」 威嚇する様な声と顔で山根君を睨んだ後、彼女は笑顔で里玖に顔を近付ける。何か呟くつもりらしい。 小さすぎて何を言っているのか分からなかったが、言われた方はみるみる顔色が青くなっていく。 「え、ちょっと里玖?大丈夫?」 何を言われたのか。目を見開いたまま固まっている姿を見ると、それは決していい話ではないようだし。 有希が女の子相手に酷い事を言うはずがないと分かっているけど、それでも心配になってくる。 「そんなに慌てないで、紀月。貴方の友達に酷い事なんてしないわよぉ」 「嘘つき。昔、人の友達を階段から突き落としたくせに」 「あれにはちゃんとした理由があるのよ。さて、チャイム鳴るから戻るわ。また放課後ね」 相変わらず可愛い笑顔で。嬉しそうに手を振りながら去っていく有希にはため息しか出てこなかった。
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