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時は午前2時――。
東京――。
「眠らない街」その名の通り、街には人が行き交い、昼間のように明るい。
その光景を眺めながら舌打ちする全身黒服の男がいた。
(こいつらの親はどういう教育してやがる・・・夜は寝るもんだろが)
彼はさきほどから缶コーヒーを口にしながら、この街では珍しくもない一つの光景に神経を集中させていた。
(あいつも違ぇな・・)
男の視線の先ではスーツを着こなしたホスト風の若い男が同年代であろう、おなじく水商売風の女に声を掛け、交渉が成立したのか二人で夜の街へ消えていった。
男はめんどくさげに頭をかき、ため息を吐き出した。
(こうなりゃその辺の店一件一件てきとーに・・・)
男の思考はそこで切り替わり、また一組の男女へと視線を動かした。
「ねぇ、いーじゃんよ。楽しい店あんだって。変なことしないって絶対!」
ダボダボのズボンにTシャツ、ニット帽に体中にアクセサリーをジャラジャラ付けた男がこれまた水商売風の女に声を掛けていた。
「やーよ。あたし仕事中なの。頼むから他・・・・・・いいわ。行きましょ。」男の目を見た女の態度が急に変わり、二人で路地裏へと消えていった。
(よし来た!)
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