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男はタバコを捨て、路地裏に消えた男女の後を追いはじめた―――。
ヒップホップスタイルの男と水商売風の女は地下にあるクラブへと入っていった。光と音楽が飛び交い、所狭しと男と女が踊り、酒を飲み、食事をするその光景はごく普通のクラブだ。ただ彼らが飲み食いしているモノや、水商売風の女に投げ掛ける飢えた獣のような視線を除いては―――。
(すごい・・・アハ・・サイコー・・・)
女はヒップホップスタイルの男の目を見た瞬間、すでに魂を奪われていた。今の彼女にあるのは尽きる事のない快感と浮遊感だけだ。
店に居た先客達がじわじわと女との距離をちぢめてくる。彼らの目は野獣のように険しく、口からはうめき声と唾液が滴り落ち、鋭い牙が妖しく輝いていた。
女は変わらず浮遊感を味わっていた。先客達が女に一斉に噛み付こうとした瞬間―――。
――突如一発の銃声。先客の一人の頭部に命中した。先客は吹き飛び、激しく壁に激突、緑の炎と共に光の粒子と化した。
先客達は一斉に銃声のした方角へ目を向けた。
そこには黒服に身を固めた男が立っていた。2丁の拳銃を構えて――。
ヒップホップスタイルの男がつぶやく。
「身長175センチ、体重75キロ・・2丁のデザートイーグル・・・貴様・・・」
「うるせぇ」
黒服の男はつぶやくと次々に客達に弾丸を浴びせていく。弾丸を受けた客達は断末魔の叫びをあげながら緑の炎をまとい、光の粒子になり消えていく。男は素早い装填を繰り返し、客に隙を与えない。
黒服の男は銃を操りながら客達が飲み食いしたものを眺める。
「ここ最近起きた幼児連続失踪事件の犯人はやはり貴様等だったか。」
弾を撃ちつくし、マガジンを捨てる。先客達がその隙に襲い掛かる。
黒服の男は次弾を装填せずにデザートイーグルを投げ捨てた。つぎの瞬間には男の手にはどこからあらわれたのか日本刀の形状の武器が握られていた。
黒服の男の顔面に客の鋭いつめが迫る。
男は抜き打ちで客の腕を肘から切断し、胸を貫いた。そのまま体を右にひねり、刀を横にないで4人の客を同時に切り裂く。
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