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午後3時30分――
イタリア・ミラノ――
街はティータイムの雰囲気に包まれており、町中にあふれるカフェテリアにはたくさんの地元の人間、観光客でひしめきあっている。その中でも名店の一つに数えられているカフェにその男は居た。
黒服に身を固め、身長175センチ、体重75キロの39歳、迫田公一である。目付きは鋭いが美男子であるため、たくさんのイタリア美人が誘惑の視線を投げ掛けたが、本人には全くその気は無いのか、はたまた気が付かないのか、何人もの美女がプライドを傷つけられたことだろう。とにかく公一はコーヒーと美しい街並に集中している。
やがてコーヒーを飲みおわると、店のマスターに話し掛けた。
「ごちそうさま。うまかったぜ。」
「おう。しかし相変わらずお前さんモテやがるなぁ。えぇ?ナイスガイ。」
「俺はこの店のコーヒーと街並以外興味はねぇよ。また来るぜ。」
「毎度。次はいつになるんだ?」
公一は天を仰いだ。
「・・・気分次第かな。失敬するぜ。」
店を出ると日差しは落ち着き、歩きやすくなっていた。
(あと一時間くらいぶらついたら土産でも買って帰るか・・・)
彼がイタリアまで来た目的、それは
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