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「んん…」
しんとなった所で少女が小さく唸り
「あっ、目を覚ますかも!」
ぱちっ
少女が目を覚ました。くりくりとした大きな瞳で何度か瞬きしてのぞき込んでいたイタリアと目が合った。
「チャオ♪大丈夫?」
「………」
だれだろ?このおにいちゃん…???
キョトンとイタリアを見つめる。
「あれ?話せないのかなぁ?君大丈夫?僕は怪しいものじゃないよ~~?」
「こらイタリア、そんなに詰め寄るな。怯えたらどうする」
「お名前、なんて言うんですか?」
隣でぎゃいぎゃい騒ぐ2人を尻目に日本はできるだけゆっくり、笑みを浮かべて少女に訊ねた。
「えこ!」
少女はまた何度か瞬きした後にぱっと笑って答えた。
「ヴェ~!君、えこちゃんって言うんだ?可愛いね~♪」
「うん!えこ!」
少女はにこにこしながら頷いた。しかしドイツがここであることに気付く。
「おい、待て。こいつどうして俺たちの言葉が分かるんだ…?」
「「あ…っ」」
日本とイタリアは声を合わせ少女を見ると、少女はきょとんとした顔でこちらを見つめてくる。
「しかもこいつは普通に受け答えでき、俺達もこいつの言葉を理解している」
「え…それじゃ、この子国なの…?!」
「それなら言葉が通じるのも頷けます」
「ヴェ~…でもこんな子見たことないよ?どこの国なのかなぁ~?」
「しかしアジアにも欧州にもこんな小さな子供がいたと言う話は聞いていませんが…」
「それ以前になんでここにこいつがいるのかだろ…」
きゅるるる…
「ぁぅ…おなかすいたぁ…」
3人が真剣な顔で話し合う最中、えこの腹の虫が鳴った。
「えこさん、果物ならありますが食べますか?」
「たべる!えこくだものすき~♪」
「日本、俺も俺も~~!」
「ではイタリアくん、この先の小川で冷やしている果物を持ってきてくださいませんか?」
「ヴェ~、了解であります~!」
頼まれるとビシッと額に手を添えて敬礼しパタパタと小川へ走って行った。
「やれやれ、こいつの事は一時保留だな…」
すっかり話の腰を折られてしまいドイツはえこを見てため息をつくと、えこと目が合ったが、合うなりえこは日本の陰に隠れてしまった。
「おやおや、どうしましたか?」
自分に隠れてしがみついてくるえこに首を傾げ訊ねると、
「こわい…」
「なっ…!」
怯えるえこに何気にショックを受けてしまうドイツだった。(笑)
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