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バサバサバサっ!!
「えっ!?」
「きゃ!?」
バターンっ!!
僕の後頭部が当たった衝撃で,本棚は上から二段目までの本が全部僕と真中を目がけて落下してきた。運の悪いことに,そのゾーンは分厚い辞書ゾーンだった。
なすすべもなく,僕と真中は大量の本に押しつぶされた。
「いっ,いっててて……」
意識はあったが,頭がすごく重い。おそらく落ちてきた本に頭を強打したせいもあるが,それよりも大量の辞書が体全体にのしかかっており,身動きが取れない。
むにゅ!
「んっ?」
なんだ今の音は?
周りには落下してきた本しかなくむにゅってするものは……
むにゅ!
「ひゃっ!?」
「んっ!?」
右手にあった感触を確かめるべく指を動かすと,分厚い辞書のごつごつした感触ではなく,なにやら柔らかい感触と真中の悲鳴が……
「……ま,まさか……」
重い頭を無理矢理上げると,周りの状況がようやく視界に入ってきた。
冷静に周りを見ると,散乱した本の下敷きになるように僕と真中が倒れており,僕の右手は真中の……
「…………」
「…………」
僕の下に倒れていた真中と目が合う。数秒なのか数分だったのかは分からないが,お互いを見つめあっていた。
そして……
「きゃあああ!!」
「ごっ,ごめん!!」
慌てて飛び起き,とりあえず真中から距離を取った。真中はゆっくり起き上がると,顔を真っ赤にしながら制服についていた埃をはらった。
「ごめん……重かったよね」
「えっ?あっ,ううん……」
真中は心ここにあらずといった感じでぼーっとしていた。保健室に連れていった方がいいのかな……
そんなことを思っていると,ふと背後から人の気配がした。
振り返ってみると……
「……順也」
「み……未由?」
そこには本棚の影から半身だけ姿を見せてる未由がいた。
「ど,どうしたんだ?今日は先に帰ったんじゃなかったのか?」
「………」
「……未由?」
未由が僕の目の前まで歩み寄ってくる。気のせいか,ただならぬ気配とオーラが未由の体から発せられているような気がした。
――と思っていると……
「順也なんてもう知らない!!」
「ぐふっ!!」
未由の右ストレートが僕の腹をとらえた。
僕が息も絶え絶えにもがいている間に,未由はすたすたと図書室から出ていってしまった。
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