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｢ただいま…｣
靴を脱ぎ、俯きながら廊下を歩き居間へ向かった。
僕の家は和風で、昔話に出てくるような家の雰囲気だと倉木によく言われる。
少し古い僕の家だが、僕は少し気に入っていた。
少し長い廊下を歩いて居間に入ると父さんがいた。
｢おかえり、悠輔。遅かったじゃないか。｣
今の時刻は７時半。連絡をよこさなかったからいつも通りに帰ってくると思ったのだろう。
｢公園で寝てた…｣
教会の事は言わずに公園で寝てた(？)事だけを話した。
父さんは僕の言った言葉に目を少し丸くした。
｢公園…?!ね、寝てた…?!!!｣
｢気がついたらさ、公園のベンチで寝てたみたい。｣
父さんはﾊｧ…とため息をつき、手を額に当てた。
｢最近…事故が多いそうだ…ニュースを見れば交通事故の文字が必ず目に入ってくる。｣
父さんはテレビに目をむける。
ニュースが映っていた。
画面には
―――交通事故 中学生死亡―――
｢あれ…？｣
僕は亡くなった中学生の名前を見たとき、ハッとした。
｢この子は……｣
父さんも驚いているような声を出した。
画面に映っている名前は…
｢倉木…？｣
さっきまで、電話で話してた…
親友の、倉木だった。
｢嘘、だろ…｣
僕は信じられなかった。
どうして…倉木が…！
人違いかも知れない…
倉木に電話しよう…！
携帯で倉木に電話をかける。
『留守番電話に接続します…』
僕の身体は恐怖で震え、思うように動かなくなってしまった。
その時、
ﾌﾞﾌﾞﾌﾞﾌﾞﾌﾞ…
ﾌﾞﾌﾞﾌﾞﾌﾞﾌﾞ…
｢倉木っ?!｣
携帯を開き、名前を見ると倉木だった。
僕は涙が出るのをこらえ、電話にでた。
｢もしもしっ！｣
倉木っ…
『もしもし…？』
電話に出たのは、女の人の声で、その人は倉木の母だと一瞬で理解した。
『悠輔くん、よね？』
｢あ、は、…はぃ｣
『ニュース、みたかしら。』
倉木のお母さんの声が、震えていた。
｢本当…なんですか…？｣
僕の声も震えている。
『……ええ。』
『杏弥は、亡くなったわ。』
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