僕は

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「悠輔。何見てんだよ。」 放課後。 僕は友達の倉木と一緒に小さい紙パックのイチゴ牛乳を飲みながらブラブラしていた。 「また幽霊か?あ、それとも今日は妖怪の日?」 「うん…妖怪。今日はやけに多いんだよな。」 「ふぇー…何が見えるんだ?」 ズズッと啜りながら倉木は僕に聞く。 倉木は、友達の中で唯一心を許せる奴だ。 イチゴ牛乳が大好きというのもまたいい。 「轆轤首、いったんもめん?だっけ。あと子泣きじじぃ。」 「えっ、いったんもめんいんの?!どこどこ?!」 「お前の真ん前。」 「うおー!!!!!まじでか!!!!!いったんもめんさん、俺ガガガの鬼太三郎で見て俺あなた様に惚れたんスよ!!うおー!!!!!俺も見てみてぇー!!!!!」 いったんもめんが真ん前に居ることにすげー興奮する倉木。 いったんもめん、もう飛んでったけどな。 大興奮倉木を置いて僕はスタスタと歩いていく。 しばらく歩いていると知らない教会についた。 (こんなとこに教会?) 後ろを向いて倉木を探すが居なかった。 まだ興奮してんのか? 倉木に電話をしようとしたら圏外だった。 そんなに奥まできたか? 圏外とか… しょうがない、戻るか… 戻ろうと来た道を歩き出す。 「さっきの、場所だよな。」 気がついたら教会の前だ。 まさか大妖怪の仕業? 悪魔の悪戯? 幽霊の呪い? どれもあり得るが。 「とりま、行くか。」 教会の中へ入っていくと頭に声が響く。 『俺を助けにきたのか?』 男の声だ。 幽霊だろうか。 僕は気にせず歩いていく。 奥へ奥へと。 上をみると天井に不思議な絵が描かれている。 天使がいる世界。 天界だろうか。 そこの様子が(想像かもしれない)描かれている。 「うわ…」 その絵の中心には羽をもがれた天使が鬼のような顔で痛みに悶えているのが描かれている。 「痛そ…」 上を向きながら歩いていくと足先に何か柔らかいものに当たった。 何かと下を向くと、 血だらけの背中があった。
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