ですか。

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「あ、あのー…大丈夫スか?」 「あ゛あ゛ん?!?!これが大丈夫に見えるかよ!!真っ黒なんだよ!しかも片方しかねえ!!」 天使(?)は片方の真っ黒な羽に指差しながら僕に怒鳴ってきた。 いや、怒鳴られても困るんだが。 「何でそうなったか、覚えてないんですか?」 「あ?覚えてるわけねーだろ。儀式をやらされる前の事は覚えてるが、後は知らねえ。」 儀式…もしかして、天井の絵はその様子? だったら、あの中心にいる羽をもがれている天使は …この人? 「あ、そうだ。名前言ってなかったな。 チアキ っていうんだ。 よろしくな。」 「チアキ、ですか。よろしく。」 チアキ… 僕はその名前を聞いてなんだか、懐かしい気持ちになった。 「…人と話したのは、何年ぶりだろ。」 ふいにチアキの言ったセリフは他の幽霊や妖怪と喋る度、相手が呟くセリフだった。 「三百年ぐらいとかじゃないですか?」 その幽霊達は、大抵人と話すのは三百年ぐらいとか百年超えるときが多かった。 「ぶはっ!!んなわけねーよ!!俺は最近死んだ新人なんだよ。だから三百年も天界にゃいたことねえ」 チアキは笑いながらも悲しい顔をした。 「もしかして、さ…チアキ天界が好きだったの?」 突然の質問に、チアキは目を丸くした。 「前は、な。」 「前…?」 「…まあ、俺の話はまた今度な。」 チアキは出口に向かって歩き出した。 「んじゃ、」 「何処行くんスか。」 「んー?どっか。」 「どっか。って…」 チアキは少し振り向き、こういった。 「俺の大親友。この世界のどっかにいるはずなんだよ。だからそいつ探して、いたら、絶対、…」 最後は少し聞き取れなかったが…兎に角、大親友を探しに行くらしい。 「チアキ、」 「ん?」 「またな。」 「?…おう。また、今度な。」 チアキは教会から出て行って、僕は独りになった。
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