33人が本棚に入れています
本棚に追加
大部分のガンナーは今はもう、何もすることなくベッドの中だろう。食堂に来ているのは、ある程度のベテラン。俺の様にシャワーまで浴びてきているのは、更に少数になるだろう。
食堂の周囲をぐるりと取り囲んでいる多数の窓からは深い闇が、後ろに流れているのが見える。モビーディックは、消耗したガンナー、生き残ったランナーたちを乗せて、惑星ゾーンの闇の空をゆったり航行中というわけだ。
「よう、しけた面だな」
聞き覚えのある声。バーツ・ドラグノフ。十年来の戦友にして、悪友でもある。
「てめえほどじゃねえよ」
俺はにやりと笑ってやり返す。バーツの詳しい年齢は知らないが、俺より若干上だったはずだ。その胡散臭さから【詐欺師】とのあだ名がある男で、しけた面なら間違いなくやつのほうが上だろう。
最初のコメントを投稿しよう!