第3話【食堂にて】

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 大部分のガンナーは今はもう、何もすることなくベッドの中だろう。食堂に来ているのは、ある程度のベテラン。俺の様にシャワーまで浴びてきているのは、更に少数になるだろう。  食堂の周囲をぐるりと取り囲んでいる多数の窓からは深い闇が、後ろに流れているのが見える。モビーディックは、消耗したガンナー、生き残ったランナーたちを乗せて、惑星ゾーンの闇の空をゆったり航行中というわけだ。 「よう、しけた面だな」  聞き覚えのある声。バーツ・ドラグノフ。十年来の戦友にして、悪友でもある。 「てめえほどじゃねえよ」  俺はにやりと笑ってやり返す。バーツの詳しい年齢は知らないが、俺より若干上だったはずだ。その胡散臭さから【詐欺師】とのあだ名がある男で、しけた面なら間違いなくやつのほうが上だろう。
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