第1話【日常】

2/6
前へ
/180ページ
次へ
 俺の名前はディケ。ディケ・ブロンズ。  職業はガンナー、だ。  ガンナーがどんな職業だかわからない? そりゃあそうだろう。ガンナーは特殊な職業なのだから。太陽系外惑星ゾーンの中にしか存在しない。特殊な職業、それがガンナーだ。  フライングターミナル。【モビーディック】が俺の職場だ。ゾーンに21基あるフライングターミナルの中でも、生産成績、常に上位を誇る愛しの老朽艦である。残念な話だが、あと2、3年空を飛べればお役ごめんだろう。それが定めというものだ。  ガンナー専用座席に座り、備え付けの狙撃銃、通称【グングニル】がこの日、数百度目かの咆哮をあげる。俺の体はその衝撃を受け止め、次の狙いを求めて銃口を漂わせる。  もう、かれこれこの姿勢を続けて、7時間ほどになる。引き金に添えられた指は凝り固まり、狩りの終了時間にはさぞ引き剥がすに苦労することだろう。
/180ページ

最初のコメントを投稿しよう!

33人が本棚に入れています
本棚に追加