第1話【日常】

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 飲み物もトイレも、休憩もない。ただただ神経を張り詰めさせていく。この一発一発が人の生死を左右するのだ。疎かには出来ない。 『ガンナーども!』  司令官の声がヘッドセットから響く。相変わらず、大きな声だ。この司令官が赴任してから4ヶ月。評判は悪くはないが、取り立ててよいわけでもない。大きなミスはやらかしていないだけ、というのが俺の印象だ。優秀な司令官であるには、自らを大きく見せようという気持ちが大き過ぎるような気がする。  こういうタイプは、気がつくと、引き返せないところまで、歩みを進めてしまうから注意が必要だ。 『ガンナーども!』  はいはい、司令官殿、そんなに怒鳴らなくても聞こえてますよ。再び射撃! 『お待ちかねのDタイムだ。しっかり稼げよ』
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