第1話【日常】

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 俺の右目が狙撃対象を捉える。空中に浮いているモビーディックからは数百メートル。地上にいるその狙撃対象は約3m程度の二足歩行の生物である。雷の神の名をとって、その生物は【インドラ】と呼ばれる。足は二本、腕が四本あり性格はとても凶暴だ。  チッ!  俺は大きく舌打ちをした。俺が狙いをつけていたインドラが、その腕の一つを大きく振り上げようとしていたからだ。俺の狙撃箇所からは確認が出来ないが、どこかの間抜けが狙い撃たれようとしている!  風の影響、敵との距離。  当たるはずだ!  俺は引き金を引いた。真っ直ぐに銃弾は空を舞い、果たしてインドラのひたい部分を直撃し、その命を無慈悲に奪った。彼の手の中で生み出されつつあった、その名前の元になった、雷の玉はその絶命と共に、空しく霧散した。
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