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向日葵の母が申し訳無さそうに教えてくれた。
「そうですか、居ないならしょうがないです。」
「ごめんなさいね。」
仕方なく、出発の準備を済ませた両親と共に、父の車に乗り込もうと、後部座席のドアに手を伸ばす。
その時、急に一輝のポケットで携帯が鳴り出した。
向日葵が勝手に自分専用着メロだといって設定した曲。
慌てて通話ボタンを押すと、息を切らした向日葵の声が聞こえる。
「…かずくん、今…どこ…?」
「家の前。お前こそどこに居るんだよ。俺、もう行くから。」
結局気の利いた言葉なんて出て来なくて、いつものように喧嘩腰になってしまう自分が恨めしい。
「ちょっと…待ってて!すぐ…行くから。」
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