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その声が全部聞こえる前に、一生懸命自転車を走らせる向日葵の姿が坂の下に見えた。
「何やってるんだよ。」
じっとしていられなくて、向日葵の元へ走り寄ると、自転車の前かごに、向日葵の花が覗いていた。
「これ…、探してたの…。」
自転車を止めて、花束になったそれを抱える。
「向日葵?」
向日葵の花くらいなら、花に疎い一輝にもわかる。
「これ、私だと思って持ってって。『イタリアンホワイト』っていう種類なの。」
普段目にする黄色い向日葵とは違って、白い向日葵だった。
「何で白?黄色じゃないの?」
きょとんとしている一輝に、理由なんて教えるわけなくて、無理やり受け取らせた。
「いいから、『イタリアンホワイト』。探すの大変だったんだから。大事にしてよね。」
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